岡山理科大学 工学部大倉 充
岡山理科大学工学部情報工学科教授、理学博士。パターン認識研究室。研究分野はパターン認識・動画画像処理・拡張現実。近年はこれまでの研究をベースにしながら、研究室の学生とともにVR、AIに関する研究も推進中。
人間が持つパターン認識能力をデジタル解析する研究
赤ちゃんは多くの人の中から自分の母親を見分けることができる。
人間に備わったこの基本的な能力のことをパターン認識能力と呼ぶ。大倉教授が研究しているテーマだ。
「パターン認識の初歩的なものは、郵便番号の自動読み取り装置などですね。当研究室では文字列だけではない、カメラから入力された画像に含まれる情報、つまり目から入ってくる情報をパターン認識処理の対象として研究してきました。パターン認識を可能にするための動画像処理、さらには拡張現実技術に関する研究も行なってきたのです。現在は、さらにVRやAIの研究にも取り組んでいます。パターン認識でも必要だったニューラルネットワーク(人間の脳にある神経回路網を数値的に計算し表現・模倣する技術)への蓄積が活かされていると言えますね」。
ますます重要になる情報技術と情報工学部としての取組み
現代は情報化社会。情報技術の重要性はますます高まっていくことは間違いない。『情報工学科』として大倉教授はどのように立ち向かっていくのだろうか?
「情報という名前がついた学部はいろいろありますが、私たちは情報工学部。基礎的な理論を追求することだけではなく、『物づくり』であり『システムづくり』が主体となります。そして、『物づくり』と『システムづくり』は技術だけを追い求め、つくること自体が目的となってはいけません。例えばVR技術を駆使するにしても「なぜVRでないといけないのか」は明確でなければなりません。人のため、社会のためになることが抜けては意味がないのです。子どもからお年寄りまで役に立つものを考えなければなりませんね。情報工学の答えは1つだけではないのです」。