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豊橋技術科学大学  講師 松田 達也 様

岐阜県出身・1985年生まれ。名古屋工業大学・大学院を卒業。大学院時代に所属していた研究室にて、海岸構造物の津波に対する安定性に関する研究に取り組む。博士課程修了後、2014年に豊橋技術科学大学に赴任し、海岸・港湾・海洋構造物の耐震・耐波性能評価、水際地盤ダイナミクスの解明、地盤災害予測手法の開発を中心に研究。専門分野は地盤工学と応用力学。

先生の研究内容について教えてください。

大学において
土木工学という学問はどのようなことを学んでいるのか分かりづらいところもあるかもしれません。土木工学は工学の中ではとても古い歴史を持っています。そして、安心安全な生活を送ることができるよう様々な学問分野を学習します。私が主に従事している研究は、地震や津波に関する防災や減災に関することで、例えば、防波堤などの海岸構造物の安全性を確保・維持するためにはどのような課題があるのかを考え、その課題に対して科学的検証により最適解を導いていきます。また、津波・河川洪水といった水流による土砂移動、高潮や高波による海底地盤への影響、液状化や土石流の現象などについても研究を進めており、今後発生が予想される災害への備えとなる対策や、それに打ち勝つための新たな土木技術の確立を目指しています。

研究の中で、ワークステーションはどのように活用されているのでしょうか?

津波が起こった場合、第一のセーフティとして防波堤があるわけですが、それが波によってどう破壊されるのか、どの程度の負荷に耐えうるのかを可視化していきたい。けれど、地理条件が個々で異なるので世の中の構造物はほぼすべてが唯一無二のものですし、そもそも実物と同じものをつくって実験をするのは不可能ですから、理想化・単純化した縮尺模型で実験を行います。模型実験では挙動が観察でき、センサー計測により定量的な評価ができます。しかしながら、模型実験では様々な制約条件があり、さらにはセンサによる計測では点でしか測ることができないので空間の変化を把握することが難しいという課題もあります。そのような問題を解決するには、コンピューターによる数値解析を行うことが有用です。では、数値解析によってはじめから検討すればよいのでは...と思われるかもしれませんが、数値解析による結果が正しいのか、その妥当性(V&V)を確認する必要があります。そのためにも実験により得られた結果をベンチマークとして数値計算結果の妥当性を確認し、そのうえで、実験と数値計算の両方を合わせて、構造物や地盤の挙動を観測し、よりよい設計や保全へ向けた課題の抽出や、新たな構造、対策法の検討を行っているのです。わたしの研究では、例えば、1つの砂粒が水の流れによってどういった力を受けるか、どういう風に移動するかを観察したり、土砂が大きく流動したり、構造物や地盤が津波などによって大変形したりする現象をターゲットとしていることから、粒子法や個別要素法といった解析手法を用いており、そのような解析にかかる計算コストを削減するためにGPGPUによる計算を中心に、ワークステーションを活用しています。

購入の際に重視したのはどういった点ですか?

並列処理の計算能力ですね。先にもお話しましたが、水の動きや砂粒の一粒ひと粒を追うような研究をしているので、GPU/グラフィックボードを使った計算能力を重視してオーダーしました。GPUでの計算が手元で出来るようになったことで、自分で組んだプログラムもすぐに導入でき、計算の幅が広がりましたね。最近はGPU対応のプログラムがオープンソースであるので、自身で開発したプログラムだけじゃなく、そちらも利用しています。

弊社のサポートについてはいかがでしょうか?

2014年に最初のコンピューターを、2年後にまた新しいマシンを導入しているのですが、ずっと手厚くサポートしていただいているので頼もしく思っています。オーダーの際もこちらの要望を細やかに聞いてくださったうえで、予算の範囲内で過不足のないビルドを提案してくれ、最適なパフォーマンスを実現するためのチューニングしてくれたので安心でした。カスタマイズに関してもしっかりとフォローしていただいていますし、不具合等が出た時はすぐに駆け付けてくれるので助かっています。計算用のPCだけじゃなく、一般的なタワー型のPCや周辺機器もお願いしているものがあり、そちらのメンテナンスについても迅速に対応していただいているので、大変心強いです。

今後、どういったことを進めていきたいですか?

現象に対してより多くの計算条件を持たせ、二次元の問題から三次元へ拡張するなど、さらに色々なアプローチをしたいと思っています。現状では、例えば砂粒の動きを再現しようと思うと、スパコンを使っても1000cm3ほどの小さな範囲でしか事象を測ることができないのですが、そこに相似的な条件を組み込むことで、計算コストを抑えつつ、もっと大きな範囲での事象を捉えることができるのではないかと考えています。どうしても計算容量に制限があるので難しい部分もありますが、コンピューターの性能の向上も睨みつつ、今行っている研究をさらに深く発展させていきたいですね。

 

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