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福岡工業大学情報工学部情報工学科 前田研究室 前田 道治先生

Fukuoka Institute of Technology

今までのコンピュータとは違う計算原理の追求

Maeda Michiharu

前田 道治 先生

福岡工業大学情報工学部情報工学科前田道治教授。
研究内容は人工知能の分野を中心に、未来のコンピュータに関連した研究。
群知能、進化的計算、ネットワーク科学、量子コンピュータ科学、DNAコンピューティング、ニューラルネットワーク、ファジィシステム等といったナチュラルコンピューティングに携わる広範囲の研究をされている。

人の知能そのものを持つ機械ではなく、人が知能を使ってすることを機械にさせようとする人工知能の研究。未来のコンピュータに関連した研究に携われる研究室の様子を紹介!

新しい計算原理についてとことん追求している前田道治研究室。
人間だけでなく動物の行動や生物の生態などをモデル化して、人工知能の基礎部分を手広く固めている。
先生が研究する計算知能及び情報数理に関する研究について伺った。

—前田先生の研究内容について教えてください。

研究内容はわかりやすく言うと人工知能です。
私は、人間の知能そのものを持つ機械を作ろうという立場ではなく、人間が知能を使ってすることを機械にさせようとする立場です。
動きや行動をモデル化して、人間の脳の中身を割ってみるのではなく、外から見て行動を真似して、モデルを立ててそれを機械にさせる研究をしています。

私の研究は人工知能の中でもCIと呼ばれる「計算知能」の分野です。
今流行っているディープラーニングなど、従来の人工知能AIは「教師あり学習」と呼ばれるものが主流ですが、私の行う研究の「教師なし学習」ではコンピュータ自身が経験を積んで、もっと柔軟な動物とか人間を真似た人工知能の活躍を目指しています。
要するに人間そのものを作るのではなくて、人間がやることを機械にさせようとしています。

「新しい計算原理を探そう」というのが私の研究目標で、
計算原理というと難しいのですが、内容としては人間を含めた動物や植物の生態を数理的に考察して、モデルを立てて、シミュレーションを行っています。
私の研究は直接的な成果物や何かの役に立つと言った物ではなく、計算原理などの研究成果が、他の研究を行う方の理論の基となる基礎研究になります。

生物の習性をモデル化した最適化問題

人間が知能を使ってすることを計算式で求めるのは難しく、どうしても曖昧さがでてしまいますので、厳密さは求めていません。
曖昧さを受け入れて、求めたいものを求めていく形です。
例として、巡回セールスマン問題があります。
50都市あって、1つの都市を一回だけ訪れて元のところに戻ってくるような問題があったとします。
この場合は厳密解を求めることができますが、都市が100や1000といった数になった場合に、全部しらみつぶしにやっていけば厳密解を求めることができますが、相当時間がかかってしまいます。
そのため、そこそこ使えるものであれば、それ以上求めなくて良いという考え方です。

なぜそういうのを許しているかと言いますと、人間も同じようなことをしているからです。
人間は現在地と目的地が書いてある地図があった場合に、わざわざ距離を調べて計算をして厳密に最短ルートを求めていません。
人間でも「これでいいや」と適当に近いところを通っていきますよね。

厳密解を求めるとなると、大きなものであれば何年という単位で実時間がかかってしまいますが、曖昧さを許す考え方であれば都市が多くなっても時間はかかりません。
そういった厳密解ではないですが、解答の中の一つとして、曖昧なものを許すと「使える」という発想から来ています。

私が専門に研究している「教師なし学習」では、
具体的に「こうして欲しい」と指示を出さなくても、更新する規則だけ与えるだけで、解答を求められることが特徴です。
厳密解を求めるわけではないため、毎回同じものが出来上がるとは限りません。
しかし、厳密に見たら同じではないですが、パッと見た感じではわかりません。

先程の巡回セールスマン問題でも規則を与えてできたものは毎回ちがう経路になります。
規則を与えてそれに基づいて行っていきますが、コンピュータが自分で学習してパターンを見つけ出していきます。
各パターンの中で競争させて一番強いものが勝者とすることを重点的に強化させていく学習なので、「自己組織化」、「競合学習」とも言われています。
特に応用例としてはデータ圧縮、クラスタリング、パターン認識、組合せ最適問題、ノイズ除去などに適応できます。

これらの研究を使って具体的に商品化するというわけではありませんが、いろんなモデルを立て検討をして基礎的な部分を研究しています。
パターン認識を使って、目や指紋認証、顔認証といったパターン認識の応用はあるかもしれません。
そういった基礎的な部分を支えるのが、我々の役割だと考えています。

—研究室について教えてください。

研究室のメンバーは4年生と大学院生を合わせて8人。
私のところはノルマがあるわけではなく、あまり強制をしていません。
最近の文献を読んで理解してもらって、プログラムを作成します。
そこからプログラムを改良して、研究を進めるといった流れになります。
私の研究室では学力というよりはやる気を重視しています。
研究は誰もやっていないことに挑戦することになります。
勉強ができても受身だとやっていけません。
自分で問題を見つけ、自ら解決することによって、自主的に行動できる人になってほしいですね。
新しいことを発見することによって新たな感動を得ることができる研究室です。

—福岡工業大学の魅力は?

福岡の中心地である天神駅や福岡駅に近く、駅に隣接しているため地理的なメリットが非常に高いです。
本学は優秀なスタッフを多く抱えているため、本格的に研究するには大変良い環境です。
私の研究は直接利益につながらないため、企業ではなかなかできません。
こういった環境で、大学でしかできない研究ができるのも福岡工業大学の魅力の一つです。

—高校生へ伝えたいことは?

数学や物理を基礎とした情報工学に興味があれば、先端技術者へ導く教育を受けることができます。

研究室の先輩たちの主な進路先

安川エンジニアリング、ユニアデックス、JFEシステムズ、ハウステンボス、サイバーコム、明治安田システム・テクノロジー、アルファシステムズ、枕崎市役所

福岡工業大学 情報工学部 情報工学科 前田研究室

〒811-0295 福岡県福岡市東区和白東3-30-1 C棟7F
http://www.fit.ac.jp/~maeda/index.html

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